チョウショウインハタザクラ

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チョウショウインハタザクラ(長勝院旗桜)は、志木市柏町三丁目の長勝院跡にある推定樹齢400年以上のハタザクラである。志木市の指定文化財となっている。目通り樹回り3.05m、高さ11.20m。花は大きく、一重咲きの花に雄しべの一部が花弁状に変わった旗弁(1から2枚)を生ずるヤマザクラ(バラ科)の一種で、この種のハタザクラとしては、他に類がなく唯一の栽培品種であるという。

年譜

  • 昭和五十七年(1982年)3月30日:志木市「指定保存樹木第189号、樹種サクラ」に指定。
  • 平成五年(1993年)10月6日:「長勝院の桜」を志木市指定文化財に指定
  • 平成十年(1998年)
    • 9月1日:財団法人 日本さくらの会「櫻の科学」第6号に、川崎哲也「ヤマザクラ系の栽培品種チョウショウインハタザクラ」論文が掲載され、ヤマザクラの新しい栽培品種として記載された。
    • 11月:「長勝院の桜」から「チョウショウインハタザクラ」に名称を変更。
  • 平成十二年(2000年)5月5日:埼玉新聞社の「21世紀に残したい埼玉ふるさと自慢100選」に選出。
  • 平成十五年(2003年)11月30日:財団法人 日本さくらの会「櫻の科学」第10号に、情報として宮﨑尚子(「petitぶんか村」編集長)による「チョウショウインハタザクラによるまちおこし」が掲載。

公式の解説

チョウショウインハタザクラ
(長勝院旗桜)


 目通(めどお)り樹回(きまわ)り(目の高さ位の所の樹の周囲)三・〇五m、高さ十一・二〇m推定樹齢四百年以上のハタザクラ。
 花は大きく、一重咲きの花に雄しべの一部が花弁状に変わった旗弁(一~二枚)を生ずるヤマザクラ(バラ科)の一型で開花時の花付きは極めてにぎやかです。
 県内各地の桜と比較しても巨木の中にはいるもので、樹齢等の点からみても大変貴重なサクラです。
 またかつてこの地にあったともいわれる柏の城の歴史を語る生き証人としても大変重要な桜で、今後大切に保護していくべき桜花です。
平成六年二月二十五日

志木市教育委員会 — チョウショウインハタザクラ前の説明板より

櫻の科学 掲載論文の概要

ヤマザクラ系の栽培品種チョウショウインハタザクラ

財団法人 日本さくらの会「櫻の科学」第6号

川崎哲也

摘要
  1. 志木市長勝院境内の桜の大木の樹種に関して調査を行なった。
  2. この大木はおおむねヤマザクラの特徴を持つと考えられた。
  3. この大木に見られる特徴でヤマザクラにも見られるものは次のとおりである。
     成葉の向軸面は濃緑色で、光沢がある。
     成葉の背軸面は蒼白色を帯びる。
     成葉の縁の鋸歯は細かくて、その先端が芒状で、糸状にはならない。
     萼筒は長鐘形である。
     萼片は披針状三角形、全縁である。
  4. これらの特徴からこの大木はヤマザクラ系統のものであると考えられる。
  5. 鱗片の外面の先端に縮毛があることから、この大木が生まれてきた何時かの時点でヤマザクラ以外の種の関与があったかもしれない。
  6. このサクラの大木は、ヤマザクラの一般的な個体と比較して、枝がやや太い、花が大型である、5弁花のほかに1-2の旗弁を持つ6ー7弁花があるなど、特異的な特徴を持っている。また、白色の花弁と紅紫色を帯びた若芽との対比が美しい、現地において古くから栽培されているなどのことから、ヤマザクラの一栽培品種と見なし得ると考える。
  7. このサクラの大木は、今までに知られていなかったものであるから、新しい栽培品種として記載した。

チョウショウインハタザクラによるまちおこし――地域情報紙の視点から――

財団法人 日本さくらの会「櫻の科学」第10号

petit(プチ)ぶんか村」編集長 宮﨑尚子

  • 尾崎征男氏(市の文化財保護委員、市史編さん委員、環境教育推進員の集い座長を歴任)が市に働きかけ、「長勝院の桜」が志木市文化財第1号に指定される。また、専門家に調査を依頼したところ、川崎哲也氏の調査により、新種であることが判明した(上記論文)。
  • まちおこしの具体例
    • ハタザクラまつり:毎年4月第二日曜日の観桜会。
    • はたさくらまんじゅう:2002年、全国菓子大博覧会で金賞受賞。
      • 取扱店=菓匠・八百國(本町一丁目)、きくや和菓子店(中宗岡四丁目)、風月堂(上宗岡四丁目)、万葉和菓司(柏町五丁目)、有喜菓子舗(本町五丁目)
    • 長勝院はたざくら最中:新座市の和菓子店「菊扇」店主が考案。
    • 銘酒はたざくら:柏町のマイリカーショップセキノ(現・関野酒店)のオリジナル銘酒。当初は「旗桜」の銘柄だったが、はたざくらまんじゅうと同じラベルに変更。
    • ハタザクラ新聞(環境教育推進員の集いが発行)
    • 志木古木切り絵双六

現在のチョウショウインハタザクラと町おこし

以上のまちおこしに関しては、2026年現在は継続されていないものも多い。

  • ハタザクラまつり:2005年4月3日に第10回ハタザクラまつりが開催された記録が最後。それ以降は実施されていない。
  • はたさくらまんじゅう、長勝院はたざくら最中:現在は閉業もしくはすでに販売されていないようである。
  • 銘酒はたざくら:広報しき2025年7月号によれば、「はたざくらには本醸造と純米酒の2種類があり、それぞれの特徴を尋ねると「本醸造は淡麗辛口で、35度から40度のぬる燗かんまたは常温で味わうのがおすすめです。純米酒は淡麗甘口で、香りをより楽しむために冷酒で味わうのが特におすすめです。」と教えてくれました。リピートする人もいるほど多くの人から愛されるはたざくらですが、原材料費の高騰などの影響により、現在店頭に並んでいる商品のみで販売終了となってしまうとのことです。」とある。
  • 現在は毎年の開花状況を志木市が発信している。
  • 市内カッパ像のひとつ「さくら子」が設置されている。「チョウショウインハタザクラ」を見守っているイメージである。

注記


新座郡エリアのハタザクラ